元・金融OLの本棚

金融業界に返り咲きました。つれづれなるままに読んだ本について語る読書ブログ。

飛ぶ教室

『飛ぶ教室』エーリヒ・ケストナー(丘澤 静也 訳) オススメ度 ★★★★★ クリスマスにぴったりの物語といえば、このケストナーの『飛ぶ教室』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? 母親が好きな物語なのでずっと薦められていたのですが、社会人になっ…

永遠の出口

『永遠の出口』森 絵都 オススメ度 ★★★★ 本日は、小学生の頃に『カラフル』を読んで以来大好きな森絵都の『永遠の出口』を紹介します。この『永遠の出口』も小学生の頃に初めて読んで、それ以来中学生、高校生、大学生と折に触れて読み返してきた大好きな作…

服従

『服従』ミシェル・ウエルベック(大塚 桃 訳) オススメ度 ★★★☆☆ 今回はミシェル・ウエルベックによる『服従』です。もしもフランスでイスラーム政権が誕生したら…というトンデモ設定が興味深い小説ですが、フランス社会や政治、宗教を取り巻く状況など、フ…

アイネクライネナハトムジーク

『アイネクライネナハトムジーク』伊坂 幸太郎 オススメ度 ★★★★☆ 久しぶりに現代日本作家の作品を読んだのですが、またまた伊坂幸太郎です笑 だって好きなんですもん。 『アイネクライネナハトムジーク』は伊坂氏お得意のミステリーではなく、ほんのり恋愛小…

ムントゥリャサ通りで

『ムントゥリャサ通りで』ミルチャ・エリアーデ(直野 敦 訳) オススメ度 ★★★★☆ 今回も友人との読書会用に読んだ小説のご紹介。ミルチャ・エリアーデは宗教学者として存じ上げていましたが、小説も書いていたんですねえ。いわゆる「幻想小説」と呼ばれるも…

逃れる者と留まる者

『逃れる者と留まる者 ナポリの物語3』エレナ・フェッランテ(飯田 亮介 訳) オススメ度 ★★★★☆ いよいよ『ナポリの物語』シリーズも三作目となりました。一作目『リラとわたし』や二作目『新しい名字』とは異なり、三作目では主人公エレナの活躍の場が広が…

新しい名字

『新しい名字 ナポリの物語2』エレナ・フェッランテ(飯田 亮介 訳) オススメ度 ★★★★☆ 前作である『リラとわたし』の感想を書いてからだいぶ時間がたってしまいました。美しい海の表紙が目に眩しい二作目ですが、二作目の肝となる部分が南イタリアの美しい…

茶の本

『茶の本』岡倉 天心(桶谷 秀昭 訳) オススメ度 ★★★★☆ 今回は読書会に向けて読んだ『茶の本』です。 『茶の本』は、岡倉天心が西洋人に向けて日本の精神性を紹介するために英語で著したもので、ゆえに日本人の著作にもかかわらず訳者が存在しています。言…

金閣寺

『金閣寺』三島 由紀夫 オススメ度 ★★★★☆ 久しぶりに日本文学を読みました。 なんとなく翻訳ものを読みがちなんですよね…。 三島由紀夫を読んだのは実はこの『金閣寺』が初めてなのですが、『金閣寺』の場合は日本文学といっても「美」の観念だとかイデア論…

失われた時を求めて スワン家のほうへⅠ

『失われた時を求めて スワン家のほうへⅠ』マルセル・プルースト(吉川 一義 訳) オススメ度 ★★★☆☆ ここのところ忙しく、だいぶブログの更新をサボってしまっていました…。前回の記事から何冊か読了している本はあるので、ゆっくり更新を再開していこうと思…

リラとわたし

『リラとわたし ナポリの物語1』エレナ・フェッランテ(飯田 亮介 訳) オススメ度 ★★★★★ 2022年一発目の記事は、イタリアの現代作家エレナ・フェッランテによるベストセラーで始めたいと思います。 ●あらすじ 主人公エレナは地区の小学校でもずば抜けて頭…

車輪の下

『車輪の下』ヘルマン・ヘッセ(高橋 健二 訳) オススメ度 ★★★★☆ 前回記事から少し間が空いてしまいました。今回はヘッセの代表作『車輪の下』についてつづっていきます。 本作のテーマは、青年期における自我の確立ではないでしょうか。ドイツの神学校での…

華氏451度

『華氏451度』レイ・ブラッドベリ(伊藤 典夫 訳) オススメ度 ★★★★☆ 今回は、アメリカ国民文学として盤石な地位を築きつつある、レイ・ブラッドベリの『華氏451度』です。 いわゆる「ディストピア小説」の一種で、ありていに言えば「考えることの大切さ」と…

ロックダウン

『ロックダウン』ピーター・メイ(堀川 志野舞・内藤 典子 訳) オススメ度 ★★★★☆ イギリスの人気作家、ピーター・メイの初期作を翻訳で読んでみました。 タイトルからも分かるかもしれませんが、死亡率80%という新型ウィルスが大流行するロンドンが舞台の…

二重に差別されている女たち ないことにされているブラック・ウーマンのフェミニズム

『二重に差別されている女たち ないことにされているブラック・ウーマンのフェミニズム』ミッキ・ケンダル(川村 まゆみ 訳) オススメ度 ★★☆☆☆ まず最初にお断りしておきたいのですが、ここでオススメ度を★2という低評価にしたのは9割翻訳のせいです。正直…

モモ

『モモ』ミヒャエル・エンデ(大島 かおり 訳) オススメ度 ★★★★★ 小学生のころに図書館から借りて読んだのですが、大人になってもう一度読み直そうと思い、あらためて岩波少年文庫版を購入してみました。 舞台はヨーロッパ(イタリア?)らしきある都市。浮…

銃・病原菌・鉄

『銃・病原菌・鉄』ジャレド・ダイアモンド(倉骨 彰 訳) オススメ度 ★★★★☆ いつもは小説について記事をあげているのですが、今回は少し趣向を変えて、ピューリツァー賞など数々の賞を受けた著作についてご紹介しようと思います。 この『銃・病原菌・鉄』で…

イン・ザ・ハイツ

『イン・ザ・ハイツ』ジョン・M・チュウ 監督 / リン=マニュエル・ミランダ 原案 オススメ度 ★★★★★ 読書ブログといいながら、先日観た映画が良かったので、ご紹介しようと思います。その名も『イン・ザ・ハイツ』。2005年に初演された同名ミュージカルの映…

変身

『変身』フランツ・カフカ(高橋 義孝 訳) オススメ度 ★★★★★ 前回の『存在の耐えられない軽さ』につづき、はからずもチェコ人作家による作品についての記事が連続してしまいました。 一般的には、ミラン・クンデラよりもカフカの方が有名ですね。不条理を描…

存在の耐えられない軽さ

『存在の耐えられない軽さ』ミラン・クンデラ(千野 栄一 訳) オススメ度 ★★★☆☆ こちらも友人たちとの読書会のために読みました。 チェコの亡命作家ミラン・クンデラによる世界的ベストセラーとのことですが、恥ずかしながら、友人に紹介されるまで知りませ…

斜陽

『斜陽』太宰 治 オススメ度 ★★★★☆ 実は大学生の頃にも一度読んでいた『斜陽』。 今回、友人と読書会をするにあたって、もう一度読んでみました。 最初に読んだときは、正直何も分からず、今回読み直すにあたってもまったく内容を覚えていなかったのですが、…

1984

『1984』ジョージ・オーウェル(田内 志文 訳) オススメ度 ★★★☆☆ 教養として一度読まなければなぁ、と思っていたオーウェルの『1984』。 どうやら、この角川文庫のバージョンは新訳みたいですね。 さて、『1984』を読まれた皆さん、どのような感想を抱かれ…

オー!ファーザー

『オー!ファーザー』伊坂 幸太郎 オススメ度 ★★★★★ 伊坂作品ってすごい好きなんですよね。 今まで出版されている著作をすべて読んでいるわけではないんですが、家にあるだけでも10冊は軽く超えるくらい。 私の場合、各作家の代表作を読むことが多くて、ひと…

蜜蜂と遠雷

『蜜蜂と遠雷』恩田 陸 オススメ度 ★★★★☆ 『夜のピクニック』が面白かったので、また恩田作品を読んでみたいなぁと思っていた矢先に話題を呼んだ『蜜蜂と遠雷』。 読んだ感想を一言で表すと 「音楽って小説になるんだ!!」 という素直な感動。