永遠の出口
『永遠の出口』森 絵都
オススメ度 ★★★★
本日は、小学生の頃に『カラフル』を読んで以来大好きな森絵都の『永遠の出口』を紹介します。この『永遠の出口』も小学生の頃に初めて読んで、それ以来中学生、高校生、大学生と折に触れて読み返してきた大好きな作品です。
主人公・紀子の小学生から高校卒業にわたる9年間を描いた本作には、誰もが「あるある~!」と叫んでしまいそうな青春のエッセンスが余すことなく散りばめられています。数多の友達の出会いや別れ、甘酸っぱい初恋のような誰もが経験したようなエピソードも、小学校時代の担任との闘いや中学時代の非行、高校時代のバイト先での事件といった紀子の極めて個人的なエピソードの中にも、在りし日の自分自身の姿を垣間見る人が多いのではないでしょうか。『永遠の出口』は紀子の物語でありながら、読者ひとりひとりの物語でもあります。
さて、『永遠の出口』とは子どもの頃の紀子が「〈永遠〉という響きにめっぽう弱い子供だった」ことに由来しています。しかし、紀子も大人になっていく過程で世界の大きさを知り、世の中には自分の手に掬いきれないものが如何に多いことかを学んでいきます。大人になることは「永遠の出口」を見つけること、というと少し淋しいような気持ちになりますが、限りある時間の尊さに気づき、いまを大事にできるようになるのであれば、大人になることも案外悪いことではないのかもしれません。
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